デザイン・ウイズ・ネイチャー(Design with nature)

ランドスケープスタイルの提案
 
  これから目指すランドスケープスタイルのひとつとして
[Design with Nature]という考え方を提案します。
自然な、無理のない、ありのままに「洗練された空間の豊かさ」を自然の素材(光、風、音、緑)などを
出来る限り活用して創造するデザインと捕らえてみました。
[Design with Nature]とは和風、洋風といったスタイルにはこだわらず
「無理のないデザインで自然の光、風、音により空間の豊かさを感じさせる。」
といったスタイルです。
決して構造物(物)を否定するわけではありませんが
あくまで主役は物ではなく空間です
物は空間を引き立てる脇役としてデザインするといった考え方です。
例えば朝日にあたる高木のかたちがスリットのあるウォールにシルエットを描き
そのシルエットが風に揺らいでいるといったデザインです。
この空間には光、風そして木の葉が擦れる音がイメージできます。
シルエットを写しこむのはウォールではなく
庭に広がる芝生かもしれませんしシンプルなペーブメントかもしれません。
木立の下においた水鉢が夏の日差しを反射し、風に揺れる水面の影が葉裏に揺れるなどイメージは膨らみます。
具体的手法

1) 空間の領域性をつくる
領域性を演出することはとても重要です。 はっきりした領域性、やわらかい領域性などが考えられます
例えば住宅では背の高い壁や建築物ははっきりした領域性をつくり、背の低い壁、生垣、木立などはやわらかい領域性を演出します。


2) 無理のない材料

本来、家やその周りはその地域の材料を利用していたはずです。
しかし現代では物流が発達していろいろな素材を利用できるようになりました
イメージがよくて安価であるといった理由だけで安易に利用すると地域の気候風土に合わず失敗することもあります。
例えば輸入石灰岩の乱張舗装などを最近よく見かけますが酸性雨による被害、日陰部のカビによる変色などの問題があるようです
また植栽においても南欧イメージやイングリッシュガーデン、コニファーブームなどでヤシやコニファーなどの特徴的な外来種をメインとした植栽を住宅地でもよく見かけますが
植栽環境に合わないものを無理やり植えつけている例も多々あるようです
植栽計画などにおいて地域に自生する(関東であればコナラ、エゴ、ヤマボウシなど)樹木をメインに計画するようにします。
材料においても輸入材を利用する場合などは地域性を十分検討する必要があります。
可能であれば地域の材料を利用するのがもっとも自然で無理がなくベストだと思います。


3) シンプル
エクステリアを構成する構造物としてはタイル、化粧ブロック、レンガ、インターロッキング、コンクリート、木材(ラティス)、石、鋳鉄製品、左官仕上材、樹脂舗装など
キリがありませんが利用する材料の種類を少なくすることがポイントとなります。材料が多様だとどうしてもゴチャゴチャしたイメージになりがちです。
同材料でも形の変化、仕上の違いでアクセントをつけることは十分可能です。
(etcコンクリート舗装の金コテ仕上、ハケ引仕上など)
また華美な装飾品や造形は物でなく空間を見せるデザインには無用です。


4) 季節の変化、光の変化、風、音などを楽しめるデザイン
自然の変化をとりこみ豊かな空間を演出することが[Design with Nature]の重要な要素になります。

風に揺れる木漏れ日、樹木のシルエット、風に揺れる木の葉のささやき
雨が葉を打つ音、雨上がりの葉に反射する光
砂利を踏む音、草むらの虫の音、熟した実に集まる野鳥、透き通るような新緑、そして紅葉
冬木立のフォルム ........ 全てが貴重なデザインアイテムです。
 
 
 


樹影によるウォールの演出
 
 
  *このコラムは「ナチュラル&リッチ」として掲載していましたが「リッチ=高価」というイメージが強く、
本来のコンセプトが誤解される可能性があるのでデザインウイズネイチャーという表現に変更しました。

 
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