SmartGarden


 

自然と賢く(smart)付き合っていく庭(garden)という意味で スマート・ガーデンというコンセプトを提案した講演会資料をベースに作成しました。 当ホームページのトピックスで取り上げた植栽等の考え方をまとめた内容になっています




 
 

地域に適した植栽

 

潜在自然植生の概念を取り入れた植栽設計の例です。 都心のオフィス街の例ですが今までは整然で幾何学的な植栽デザインがメインでしたが ここでは里山の森をそのまま都心に持ってきたといったイメージです



こちらはスーパーのイオンの外回りの潜在自然植生による苗木緑化の例です

イオンでは全国的にこの苗木緑化を進めているようです 



日本は自生するつる植物の種類が多く緑化に積極的に活用したいものです。



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大気、気候の調整

 

二酸化炭素の削減をテーマにした植栽設計について考えたいと思います。

樹木の二酸化炭素の削減量は樹木の炭素固定量から算出できます。植物は光合成により二酸化炭素を吸収しますが 逆に生命エネルギーを得るため人 間と同じように呼吸をしてその時二酸化炭素を排出します 吸収する二酸化炭素が排出する二酸化炭素より多ければそれは炭素固定して大気中の二酸化炭素を削減したことになります。 結果として樹木が大きくなります。 炭素固定量を求めることによりその樹木が今まで削減した二酸化炭素の量を推定できます。 ただ成木になりそれ以上成長しなくなった樹木は吸収量と排出量がほぼ一定となり 大気中の二酸化炭素削減には役に立たなくなります。

ここで樹木の炭素固定量の求めかたについてお話したいと思います

右の表は林野庁ホームページに記載されている各樹種の体積を求める表です



先ほどは林野庁のデータから算出した例ですが

こちらは都市緑化樹木の幹、枝、根の乾燥重量を実際に多数測定したデータから幹直径と乾燥重量の関係式を導き出して

さらに胸高直径と樹齢の関係も考察し樹種による年間のCO2固定量を導きだしているグラフです

これによるとプラタナス、ケヤキ、シラカシなどが二酸化炭素削減には有効な樹種だと考えられます



これは国土交通省のホームページで該当樹種の胸高直径または樹齢を入力すると年間のCO2固定量が算出されます

このホームページを利用して作成したのが右上の表です

先ほどの繰り返しになりますがプラタナス、ケヤキ、シラカシなどが高い固定量を示しています



大気浄化植栽といっても汚染ガスだけを選択して吸収する植物があるのではなく、 葉の気孔から大気ガスようするに空気を吸い込む時に同時にNoxなどの汚染ガスを吸収して、 吸収した汚染ガスはそのまま吐き出すことはないので結果として大気浄化機能があるという事になります

この表は気孔が大きく開くほどNoxの吸収速度が速い事を示しています 



この表はクスノキなどの10種類の樹木の結果より単位面積当たりの年間総CO2吸収量を一律3.5kgCO2/m2として 総葉面積を「落葉広葉樹高木」と「常緑広葉樹高木」、「中低木」の大きく3つのグループに分類して それぞれの単木の規格別年間総CO2吸収量を推定したものです



具体的な大気浄化量の算定例です

ここではこの庭の植栽により年間二酸化硫黄300g、二酸化窒素400gを吸収しているとして 自動車が1600km走行により排出する二酸化窒素量の相当するとしています 



また大気浄化能力が高い(大気ガスの吸収能率が高い)樹木が大気汚染に強いとは限りません

大気汚染濃度の低い地域では大気汚染耐性が低くても浄化能力が高い樹種を利用することが可能ですが 汚染濃度のレベルの高い地域では汚染耐性が強くかつ浄化能力が高い樹種を選定する必要があります



前表に基づいて分類した表です
右の表は共通の樹種で大気浄化植栽として汚染濃度のレベル高低に共通に利用できる樹種になります
大気浄化植栽の効果を高めるためには上記の樹種をなるべく多く効果的に植える必要があります



パッシブとは受動的という意味ですがここでは自然の力をうまく活用して暮らしていくためのデザインという事になります パッシブデザインにより冷暖房などによるエネルギー消費を減らす事ができます。





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低照度空間の植栽

 

ライトコートや坪庭など外を閉じて中を開くデザインの建築においてその空間の可能性を適切に判断する必要があると思います。 実際は多様な植栽が可能である場所を極陰樹のみの単調な植栽にしてしまったり、反対に日陰に弱い植物を間違って植栽して枯らしてしまうなどです。 そこで天空率と全天空照度に着眼して植栽地に期待できる照度を推定してみました。



天空率とはある地点からどれだけ空が見えるを示したもので100%が「空がすべて見える」状態、大海原で水平線しか見えない状態 0%が「空が見えない状態」です。この概略の数値はCADなどで簡単に算出できます

屋外の照度といのは薄曇り、曇り、雨などによって変化しますし、また当然日向と日陰でも変わります。 そこで仮定としてある地点の植栽地照度は全天空照度×天空率で推定できるとしました。

全天空照度はその地点の日照時間や気象データから想定します。 直接日が当たる時間がある場合はCADで算出して日照率を掛けて照度を想定します。 細かい計算の説明はしませんが基本的足し算掛け算をしていきますと上記のような式になります。

日が当たらないライトコートのような場所では平均照度は天空率に22,500を掛けた値となります(東京の場合)



こちらは超高層マンションのライトコートの照度を階数を変えて数箇所実際に測定してその天空率を求めてみたのもで

左下のグラフにようrと照度と天空率にはある程度比例関係があると思われます

実際には少し明るめの数値になっているのは反射光などの影響だと思っています

例えば10階建マンションのライトコート(8*15m)の平均照度をもとめて見るばあい

23階(3.7%)=10階建マンションのライトコートの天空率

前述の式より 

平均照度 : 22500×3.7%=832 lxとなります

この場合は後述の表からみると

カクレミノ、サザンカ、ゲッケイジュ、モチノキ、ヒメユズリハ等が管理や他の環境が適性であれば植栽可能ということになります。



これは具体的な例です

戸建住宅の北側植栽ですが天空率と日照時間をCADで求めると期待照度は上記のような数値になります
この照度であれば後述の表により陽樹の植栽の可能性もあります。 



植物の生育と照度の関係を示した表です。
(参孝:都市緑化技術開発機構 新・緑空間技術マニュアルp122より)



これが日陰に耐えるといわれている代表的な樹種の生育照度です

この表ではヤツデ、アオキなどは500から600ルックス

ハランが200ルックスで最も耐陰力があることになります

気を付けなくてはいけないのは他の外的要因が十分の整っている場合ということで

病虫害の駆除管理、土壌環境などが良好でないこの照度では枯れてしまうということです
(参孝:都市緑化技術開発機構 新・緑空間技術マニュアル)





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食・健康・生活(自給自足)

 

屋外空間を積極的に活用したいものです。
キッチンガーデンの参孝写真は農園住宅といったほうがイメージに近いと思っています。



これらの写真はニュージーランド、サンフランシスコ、バンクーバーの例です。





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生物への配慮

 

野鳥は種類によりますが大きな緑地がなくても飛び地のように緑が存在すると生育空間として有効のようです。 また樹種により好んで集まる野鳥に違いあるようです。ただ最近、鳥インフルエンザの影響で野鳥の訪れる庭が 敬遠されがちになっているのは残念な事です。



日本は蝶の種類が多い国だそうです バタフライガーデンを積極的に導入することで新たな自然との関わりが楽しめるのではないでしょうか。 蝶は同じ種でも幼虫と成虫では好む植物が違うので周辺に幼虫が好む植物があれば成虫が好む植物を庭に植えることで 蝶(成虫)だけが訪れてイモムシ(幼虫)には遠慮してもらうなどといった都合の良い庭も可能かもしれません。





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温暖化(ヒートアイランド)への対応

 

クライメイトゾーンというのはアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどで採用されている植栽適温帯の指標で 各地の年最低気温の平均値をもとにソーン分けしたものです。正確にはハーディネスゾーンと呼ばれていますが 日本ではクライメイトゾーンと呼んでいるようです。ゾーン分けの温度に端数があるのは華氏をベースにしているためです。



この表は各クライメイトゾーンの植栽可能樹種の一覧です

今まで不可能であった暖地向植栽(ヤシなど)の可能性が広がるとともに  可能であった寒冷地向植栽(ナナカマドなど)が困難になってくると考えることもできます。



表の星印は東京の1950年代から現在までの最低気温を10年ごとの平均で算出したもので 50年代は9aでしたが現在-0.59で10aのゾーンになってます

東京では50年代と現代の平均気温では+1.23、最高気温では+0.4ですが最低気温は+3.15℃となり 最低気温の上昇が他の要素より大きくなっています

植栽ゾーンの温暖化は一般の温暖化より激しいといってもよいのかもしれません。

なんと東京の最低平均気温-0.59というのは鹿児島(-1.5)、指宿(-1.1)より暖かい事になります 植栽では東京は亜熱帯化しているといってもいいのかもしれません

植栽ゾーンの温暖化は一般の温暖化より激しいといってもよいのかもしれません。

気象庁では今年2015から大手町の観測地を現在の場所から北の丸公園内に移すらしく周囲の環境の違いにより観測温度が1度程度下がるそうです。 これにより今後は気温が少し下がり気味になったように感じると思いますが実際は違うということです。



最近シマトネリコを街中に見かけるようになりました この樹木は沖縄付近に自生するためシマ(沖縄)トネリコをいうことである 以前であれば越冬が不可能だったと思うが温暖化で可能になったと思われる。 東京は最近どこもかしこもシマトネリコだらけで そのうちシマトネリコに占領されてしまうのではないかと心配になります。





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設備・資材

 

リサイクル材、雨水利用、LED照明、電気自動車対応など環境不可を低減する工夫が大切だと思います。