車道(アスファルト舗装)TA算出プログラム


国道や幹線道路などの設計は土木設計であるが住宅地内の車道や公園内車道などは造園設計の範疇となる場合がある。
車道(アスファルト舗装)の舗装構成を設計する場合は路床の設計CBRと交通区分からTA(等値換算厚の目標値)を求め(表3)
そのTAの数値を満たすように舗装構成、舗装材を等価換算係数(表4)を用いて設計する。
この時交通区分として一日あたりの交通量をベースに経験的にL交通(N3)などが選択されることが多い。
L交通(N3)は一日の交通量を40台以上100台未満・方向とし、10年間の疲労破壊輪数(49kN)を30,000と定めている(表1)
100台未満という台数はかなり少ないイメージだが疲労破壊輪数30,000から逆算するとこの場合の台数は総重量約7.5tの車両であることがわかる
今回は疲労破壊輪数に着目し交通量を具体的に想定しそこから累積の輪数(49kN)を求めそれによりTAを算出するプログラムを作成してみた。
参考文献:疲労破壊輪数による舗装構造設計の一例

[ご利用は自己責任でお願いします。]


例として100戸程度の住宅地内の道路について以下のように想定してみた(10年間) 
・各住戸は乗用車が2台[ミニバン(2.4t)、普通車(1.6t)]
・利用頻度はミニバンが毎日1往復、乗用車2往復
・宅配トラック(5t)が一週間に一度各住戸を訪問
・建築時にクレーン車が1戸当たり3往復、資材搬入でトラックが6往復
・引越しのトラック20往復
・通過交通は発生しない
・設計CBR3
これを計算すると
疲労破壊輪数=2616、TA=9.8となる

[このTAを満足する舗装構成の一例]

材料厚さcm換算計算
表層・基層加熱アスファルト混合物44*1.0=4
上層路盤瀝青安定処理55*0.8=4
下層路盤クラッシャラン1010*0.2=2
TA=10


交通量(住宅地内)想定によるTA算出プログラム

区分 車重(t) 積載荷重(t) 利用回数(往復) コメント
通年 A: - (回/年間) 通年利用の車両、重量は往復とも総重量とし
前後輪の重量配分は1:1とした
例:ミニバン(2.4t)、普通乗用車(1.6t)、宅配トラック(5t)など
()は総重量の参考値
B: -
C: -
適時 D: (回/設計年数) 適時利用の車両、重量は非積載時と積載時で分類し
前後輪の重量配分は非積載時1:1、積載時1:4とした
例:住宅建設時ユニック(5+3t)、トラック(2+3t)、引越時トラック(4+4t)など
()は総重量(車両重量+積載量)の参考値
E:
F:

設計CBR:

設計年数


積載時(前輪)積載時(後輪) *1t=9.8kN → 5t=49kN
換算係数は[一輪当の荷重(t)/5]の4乗 
TA=3.84(N^0.16)/CBR^0.3
(信頼度:90%)
TA:必要等価換算厚(小数点以下第2位切上げ)
N:49kN輪数
CBR:路床の設計CBR
種別輪数(49kN)換算係数輪数換算係数輪数換算係数輪数
A:
B:
C:
D:
E:
F:
total
TA: cm

参考資料

表1 疲労破壊輪数の基準値(普通道路、標準荷重 49kN)
交通区分 (改正前の区分) 舗装計画交通量(単位:台/日・方向) 疲労破壊輪数(単位:回/10年)
N7 D交通 3000以上 35,000,000
N6 C交通 1000以上3000未満 7,000,000
N5 B交通 250以上1000未満 1,000,000
N4 A交通 100以上250未満 150,000
N3 L交通 40以上100未満 30,000
N2 15以上40未満 7,000
N1 15未満 1,500


表2 疲労破壊輪数の基準値(小型道路、標準荷重 17kN)
交通区分 舗装計画交通量(単位:台/日・方向) 疲労破壊輪数(単位:回/10年)
S4 3000以上 11,000,000
S3 650以上3000未満 2,400,000
S2 300以上650未満 1,100,000
S1 300未満 660,000


表3 必要等値換算厚(等値換算厚の目標値) TA(単位:cm)
交通区分 N5 N4 N3 N2 N1 信頼性90% 設計期間10年
設計CBR 3 26 19 15 12 *9
4 24 18 14 11 *9
6 21 16 12 10 *8
8 19 14 11 *9 *7
12 17 13 *10 *8 *6
20 15 11 *9 *7 *6


表4 舗装各層に用いる材料・工法の等値換算係数
使用する層 材料・工法 品質規格 等値換算
係数a
表層
基層
加熱アスファルト混合物 ストレートアスファルトを使用
混合物の性状は表1-2による。
1.00
上層路盤 瀝青安定処理 加熱混合:安定度3.43kN以上 0.80
常温混合:安定度2.45kN以上 0.55
セメント・瀝青安定処理 一軸圧縮強さ 1.5〜2.9MPa
一次変位量 5〜30(1/100cm)
残留強度率 65%以上
0.65
セメント安定処理 一軸圧縮強さ [7日] 2.9MPa 0.55
石灰安定処理 一軸圧縮強さ[10日] 0.98MPa 0.45
粒度調整砕石・粒度調整鉄鋼スラグ 修正CBR 80以上 0.35
水硬性粒度調整鉄鋼スラグ 修正CBR 80以上
一軸圧縮強さ[14日] 1.2MPa
0.55
下層路盤 クラッシャラン、鉄鋼スラグ、砂など 修正CBR 30以上 0.25
修正CBR 20以上30未満 0.20
セメント安定処理 一軸圧縮強さ[7日] 0.98MPa 0.25
石灰安定処理 一軸圧縮強さ[10日] 0.7MPa 0.25
注:  
 1. 表層、基層の加熱アスファルト混合物に改質アスファルトを使用する場合には、その強度に応じた等値換算係数aを設定する。
 2.  安定度とは、マーシャル安定度試験により得られる安定度(kN)をいう。この試験は、直径101.6mmのモールドを用いて
作製した高さ63.5±1.3mmの円柱形の供試体を60±1℃の下で、円形の載ヘッドにより載荷速度50±5mm/分で載荷する。
 3.  一軸圧縮強さとは、安定処理混合物の安定材の添加量を決定することを目的として実施される一軸圧縮試験により
得られる強度(MPa)をいう。[ ]内の期間は供試体の養生期間を表す。
この試験は、直径100mmのモールドを用いて作製した高さ127mmの円柱形の供試体を圧縮ひずみ1%/分の速度で載荷する。
 4.  一次変位量とは、セメント・瀝青安定処理路盤材料の配合設計を目的として実施される一軸圧縮試験により得られる
一軸圧縮強さ発現時における供試体の変位量(1/100cm)をいう。
この試験は、直径101.6mmのモールドを用いて作製した高さ68.0±1.3mmの円柱形の供試体を載荷速度1mm/分で載荷する。
 5.  残留強度率とは、一軸圧縮強さ発現時からさらに供試体を圧縮し、一次変位量と同じ変位量を示した時点の強度の
一軸圧縮強さに対する割合をいう。
 6.  修正CBRとは、修正CBR試験により得られる所定の締固め度におけるCBR値(%)をいう。
 7.  再生アスファルト混合所において製造された再生加熱アスファルト混合物および再生路盤材混合所で製造された
再生路盤材の等値換算係数も上記の数値を適用する。
 8.  排水性舗装に使用されるポーラスアスファルト混合物の等値換算係数は1.0を用いる。
 9.  インターロッキングブロック(曲げ強度5.0MPa)の等値換算係数は1.0を用いる。
参考データ:日本興業テクニカルデータ


表5 表層と基層を加えた最小厚さ
N7 3,000以上 20(15)〔注1〕
N6 1,000以上3,000未満 15(10)〔注1〕
N5 250以上1,000未満 10(5)〔注1〕
N4 100以上 250未満
N3 40以上 100未満
N2,N1 40未満 4(3)〔注2〕
〔注〕
1.( )内は、上層路盤に歴青安定処理工法およびセメント・歴青安定処理工法を用いる場合の最小厚さを示す。
2.交通量区分N1,N2にあって、大型車交通量をあまり考慮する必要がない場合には、
歴青安定処理工法およびセメント・歴青安定処理工法の有無によらず,最小厚さは3cmとすることができる。


表6 路盤各層の最小厚さ
(舗装計画交通量40台/日・方向以上 交通区分N1〜N3)
工法・材料 1層の最小厚さ 摘 要
瀝青安定処理(加熱混合式)最大粒径の2倍かつ5cm
その他の路盤材 最大粒径の3倍かつ10cm


表7 路盤各層の最小厚さ
(舗装計画交通量40台/日・方向未満、交通区分N1,N2)
工法・材料 1層の最小厚さ
粒度調整砕石、クラッシャーラン、瀝青安定処理(常温混合式)、
セメント・瀝青安定処理
7cm
瀝青安定処理(加熱混合式) 5cm
セメント安定処理 12cm
石灰安定処理 10cm
  • (有)グリーンサイト :〒135-0011 東京都江東区扇橋2-21-3
    TEL/FAX: 03-3645-6951 Mail: office@green-site.com
    copyright (C) 2002 greensite.co All rights reserved.